Ever Green

伝説は死なず

 ついにニコンマウントのツァイスレンズが姿を現しました。Planar 50mm f1.4 とPlanar 85mm f1.4です。前者は、M42マウント用もあります。一眼レフカメラとしては最高であると考えられているニコンと、レンズでは最高と考えられるツァイスの最強の組み合わせが完成されるということになります。ただデジタル一眼レフでは、撮像素子の締める割合が大きいため、ニコンが最高であるとは言いづらくなっていますが、フイルムカメラで考えるならば最高のマシンであるといえるでしょう。
 プラナーは、ツァイスを代表するレンズで、1896年、天才的な数学者パウル・ルドルフによって設計されました。現在の一眼レフカメラの標準域から中望遠域の単焦点レンズの殆どは、この設計(変形ガウスと呼ばれる形式)に基づいて作られています。
 ニコンの標準域の単焦点レンズのボケが、やや固い、あるいは線ボケが目立つのに対して、ツァイスレンズは軟らかい傾向が在ります。ボケの美しさにこだわるのは、日本人だけのようですが、最近では英語でもボケが扱われるようになっているようです。
 日本人がボケにこだわるのは、画題のメインの部分以外は省略したり、ぼかして表現する日本画の作風に由来するのかもしれません。
 もともと父がニコンファンだったので、私もニコンを使っていました。しかし、ヤシカコンタックス製の Planar 50mm f1.4 で写してから、ニコンを全て処分してしまいました。
 プラナーの特徴は立体感があふれ、雰囲気を写し込むような描写をします。また、独特な赤の発色をします。人の肌を写すと赤みがさして、美しく写るという特徴もあります。
 さて、今回、コシナからニコンマウントのプラナーが発表されましたが、ヤシカコンタックス製のプラナーとは、レンズ構成図を比較すると微妙に異なることがわかります。つまり、ヤシカコンタックス製のレンズ設計をそのままもってきたわけではないようです。果たして、どのような描写をするのでしょう?


プラナーについてもっと知りたい方は、ささき氏の解説が詳しいです。HPを参照下さい。
http://www.asahi-net.or.jp/~eg3y-ssk/photo/tstar/planar/
by ayrton_7 | 2006-01-20 13:51 | 随想 | Comments(8)
Commented by 666 at 2006-01-20 21:15 x
海外の某掲示板に自分の画像貼って遊んでますが、向こうの人達って
ほんと、ボケに煩い気がしてました。なんで暈すんですか?と。
もっとシャープに撮影するべきとかよく言われますw
ニコンマウントのプラナー非常に気になりますね。作例期待します。
Commented by complex_cat at 2006-01-20 23:29
ボケの話,昔,ヤシコンZeissのサイトで論議になったのを思い出しました。丸いボケに拘って9枚羽根にするなどというのは,本国の価値観では,余り無いような。
 日本人がその素晴らしさを認識していたから,RolleiflexやLeicaも,新型の開発や販売継続にエネルギーをかけられたと云うことはあると思います。そんな古いモデル,何で大騒ぎするのって宣った当のメーカーのエンジニアに,完全整備のビンテージモデルを触らせたら,その魅力を認めちゃったなんて話もありますから。これこそ,日本の優れた美意識を広く世界に広めるという,真のグローバルスタンダードだと思います。
Commented by Lilywhites at 2006-01-20 23:55
期待と不安とが頭の中で混沌としている状態なので、アイルトンさんのZFの作例期待しております!! その前に1.4よりクッキリ系の1.7にいってしまいました~...
Commented by funkymts at 2006-01-21 00:16
非常に気になりますね。
今後のシステム設計にも影響するので、もっと詳しく知りたいところです。
NikonボディにZeissレンズ→最強の組み合わせかもしれません。
Commented by exneko39 at 2006-01-21 01:56
こんばんは。わたしは最新の設計じゃないので、興味を失ってしまいました。まあ、RTS3で十分です。

「ボケにこだわる」というのは、逆の見方をすれば、主題を見ようとしない夢想なのかもしれません。
ベス単も含め夢に思いを馳せる日本人は、やはり弱くて繊細な人種なのでしょうか。(なんて、思いつきの考察ですが・・)
Commented by ayrton_7 at 2006-01-21 02:27
みなさま
ボケが美しいと思うか、クッキリが美しいと思うか、人それぞれの感じ方ですので、それを他人に押しつけるつもりはありません。
僕の写真がボケボケで見るに堪えないと持っている人がいても良いのです。
音楽に喩えるならば、ワーグナーが好きという人もいればブラームスが好きという人も居ます。両者は対極にあります。
別に両方好きな人が居ても、不思議ではありません。
Commented by kojiro-net at 2006-01-22 09:25
ZF楽しみですね。
大口径短焦点の楽しさがもっと認知されることを期待しています。
D21にも期待しているのですが・・・でもおいくらになることやら。
Commented by KouseiUfufu at 2006-01-23 12:55
僕はアイルトンさんにプラナーを教えてもらってから、写真の見方が
変わってきました。もちろん、風景なんかを撮るときに絞った時の方が
いいときもあります。
でも、最近は凄くソフトでありながら、臨場感あふれたカールツァイス
の世界が凄く好きです。
写真は、最近のカメラをつかえばくっきり・シャープに撮ろうと思えば
いくらでも出来そうです。でも、写真の一番大切な所は、撮った人や
その一枚の写真に込められた気持ちや情感だと思います。
少なくとも、今の僕には素敵なボケのある写真の方が心に心地よく
感じます。ボケにこだわるというのは、ぎゃくにしっかりと主題を見て
なにを一番表したいか考えないと、綺麗なボケを作り出す事は
出来ないと、僕は考えます。