Ever Green

2010年 02月 03日 ( 2 )

函館小学校の取り壊しの影響について

明治から昭和初期にかけて、函館は東京以北では最大の都市であった。
その時代の建築物が、街の景観を形成するほどにまとまった形で残っているのは、全国的に見て珍しいものである。

このようになった大きな原因の一つは、北海道では大地主制が認められたことである。
土地取引が弾力的でなかったために、新たに住宅や事務所を建設するためには旧市街地の外に出て行かざるを得なかったのである。

函館の主要産業は、かつては北洋漁業、造船であった。
北洋漁業は、200海里問題で衰退し、造船も不況で主要産業の地位を失った。
今、函館の主要産業は観光になっている。

現在、函館に来るパック旅行客の多くは、ベイエリアを出発点として旧イギリス領事館、旧公会堂、八幡坂、ハリストス正教会を見物した後、ロープウェイで函館山に登って夜景を見てホテルに帰るというルートとなっており、一泊二日が多くを占めている。

しかし、先に述べたルートは歴史的景観地域の半分の地域内での移動に終わっており、残された地域を有効に活かせば、観光客の宿泊日数、市内での支出を増加させることができると考えられる。
その核となると考えられるのは、旧ロシア領事館、函館どっくの赤煉瓦倉庫、旧弥生小学校である。
とりわけ、歴史的景観形成地区の中心に立地する弥生小学校は重要であった。
それを破壊することは、函館の地域経済にとって大きなマイナスになるのである。


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ノエインという函館の旧市街地を舞台に描かれたアニメーションがある。
youtubeなどの動画サイトでの視聴者のコメントを眺めると、海外からの書き込みが多いことに気がつく。
もちろんアニメーションの作品として出来が良いからなのであるが、函館の景観がいかに魅力的かということも注目の多さに結びついている。
ところが、このアニメーションは北海道では放映されず、ましてや函館でこのアニメーションの存在を知っている人は殆どいない。
函館の外部の人間が、どのような目で函館を見ているのか、函館人は理解していないのが残念である。
函館は魅力があるから観光客が来るのだなと、かなり浅い認識でとらえている人が多いのではないだろうか。
弥生小学校を、単なる古いコンクリートの固まりだと考える函館市長は、その代表なのかもしれない。

今、やるべきことは、出来れば弥生小学校の取り壊しを中止すること。
中止出来ないとすれば、全てを取り壊した後に断熱施設やトイレなどは新しい設計を取り入れ、その他は旧弥生小学校を寸分違わず復元することである。
東京丸の内のビルディングである日本工業倶楽部のように、忠実に復元した例がある。
また神戸の旧居留地にある15番館は、震災によって壊滅的な破壊を受けたが、もとの姿に復元されている。

古い建築を取り壊し、外観だけを似せた建築を建てることは、短期的には土木工事を通じて地域経済を潤すかもしれない。
しかし、それは主要産業を失った地方都市の経済を潤す公共工事という名の麻薬にしかないのである。
そのことは、希少な歴史的な景観を残している函館にとって致命的な痛手となると思われるのである。
by ayrton_7 | 2010-02-03 11:21 | 弥生小学校の保存問題

いいお参りでございます

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EOS 5D MarkⅡ

1月3日、神戸市湊川神社にて
by ayrton_7 | 2010-02-03 04:15 | Planar 85mm F1.4